幽霊
「ポチ。お前と出会って一周間が過ぎたな…。」

ポチがずっとここにいると知ってから毎日餌を持ってきている。

「今日の朝ごはんは…プレミアム猫缶だ!一週間記念だよ。」

「にゃぁっ!」

「…そうだ。明日と明後日のご飯はどうしよう。」

土日は学校が休みだった。

「連れて帰るわけにはいかないし…。あ、予鈴。」

予鈴が鳴ってしまったのでもう行かなくてはならない。

「お前と出会ってから遅刻ギリギリの毎朝だよ。」

笑いながら私は言った。
ポチは美味しそうに猫缶を食べている。

「じゃあね。ポチ。また明日。」

私は走り出した。


「西園寺さん!」

「先生。遅れてすみません。」

ドアを開けると出席を取っているところだった。

「どうかしたの?西園寺さんが遅刻なんて。」

「すみません。少し、調べたいことがあって図書室に行ってました。」

「そうなの?西園寺さんは勉強熱心なのね!でも、次からは時間にも気をつけるようにね?」

「はい。」

席に着くと隣の席の子が話しかけてきた。

「ね、西園寺さん。何を調べてたの?」

この子は一ノ瀬美華。
親が有名デザイナーで祖父が車会社の社長。
この金持ち学校で唯一私に気軽に話しかけてくる子だ。

「昨日の科学の授業で気になったことを少し。」

本当は違うけど。ま、適当に。

「あー…あの先生言ってることが難しいよね。」

「そうだね。」

「一ノ瀬さん。お喋りしないの。」

「はーい。」

「すみません。」

「西園寺さんはいいのよ?どうせ一ノ瀬さんが一方的に話していたんでしょう。」

でたよ。
みんな、私のことを信用しすぎでしょ。

「えー!違うよ、先生!」

「どうかしらね。」


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