【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「なんか仁奈、ヤキモチ妬いてるみたい」
そうクスクス笑う京香に、
「は!? 違うし!」
大きな声を出してしまった。
だってヤキモチって。
それって、あたしが椎名冬夜のことを好きみたいじゃない!
そんな事ないない、絶対ない!
「あー、ほら」
そう京香が指差す場所は、あたしの眉間。
「そんなとこに皺寄せて。
可愛い顔が台無しでしょ」
京香の言葉を否定しようと思った瞬間、体育館に歓声が起こった。
バスケのミニゲームで椎名冬夜が得点を決めたらしい。
あたしが見た時は、もうボールはコート内で飛び交っていて。
パス回しや、ドリブルなんか、全てが、すごく上手い。
他の男子の動きが鈍くみえる。
そんなくらいに、上手い。
ヒョイと軽々飛んで。
スローで見てるみたいに綺麗にゴールが決まっていく。
「バスケ選手?」
なんて、思わずバカな言葉を発してしまう。
でも、それに京香は
「みたいだね」
って、頷いてくれた。