【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「こんな暑いとこで……何してんの?」
目を綴じたままの椎名冬夜の顔は、とても綺麗で。
声をかけるのに緊張してしまった。
「……お前こそ何してんだよ」
ゆっくりと目をあけながら、言う声はやっぱり力がない。
「何って、あんたが居なくなったって聞いたから。
心配、して、あげたんでしょ」
ちゃんとした理由がなくて最後の方はゴニョゴニョとしてしまう。
「……や」
「え? 何て?」
聞き取れなかった言葉をもう一度聞き返す。
「あんたじゃなくて、冬夜」
「な、何言ってんのよ。こんな時にっ」
フッと笑みを零した冬夜の顔は、妖艶って言葉がピッタリで。
あたしは恥ずかしくなって、顔を背けた。
何だかわからない胸のドキドキに息苦しくなってきた。
あ゙ー……。
あたしも他の女子と同じで、椎名冬夜の顔に負けた?
いやいや、そんな訳ないじゃん。