【完】愛の血−超勝手な吸血鬼

「でも、何でまたこんな暑いところに居るの?」

「誰も居ないところって思って来たら、すんげぇ暑かった」


そう答えたことに、思わず笑ってしまった。

屋上の外へと続くドアを開けたら、誰でも絶対思うもん。


椎名冬夜って結構どんくさいんだ。


「なに、笑ってんだよ」


ムッとして、あたしを見る顔も弱ってる今だからか何となく可愛くすら見える。


「いや、吸血鬼じゃなくても屋上の暑さは無理でしょ」

「……」

「ん? どうしたの?」

「お前さ、昨日の俺の言ったこと聞いてた?」


昨日言ったこと?

首を傾げるあたしに、ふぅっと小さな息を吐く。


「俺、近付くなっつたよな?」


ああー!

言ってた!!

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