【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「京香、帰ろーう」
「あ、ごめん。今日委員会だから先帰っててー」
「わかったー」
放課後。
京香に話を、というより愚痴を聞いてもらおうと思ったのにー。
駅前のケーキ屋さんだって暫く行ってなかったし。
なんて思いながら上履きからローファーへと履き変えた、あたしの前に椎名冬夜が現れた。
うっわ。
帰りにも会うなんて最悪。
チラッと見上げた椎名冬夜は、あたしに気付くなり
「俺が居るって、絶対言うなよ」
なんて勝手な事を言って下駄箱の後ろへと隠れてしまった。
はぁ?
なっんで、あたしが偉そうに言われなきゃ駄目なわけ!?
「あー、ねぇ。
椎名君……男の子こっちに来なかった?」
へ?
椎名冬夜に言い返そうと思っていたあたしにかけられた声に、顔を向ける。
そこには休み時間の度に椎名君のそばで群がっていた3年の女子達。
あー、この人達に追いかけられてて逃げてたのか。
ふんっ。
捕まればいーんだっ。