【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「え、それは……えっと」
そうだよね。
普通に考えれば、そうなるよね。
で、も……
「な? 無理だろ?
だから、お前は早く帰れ」
そうなんだけど。
その通りなんだけど。
「お前がココに居て、俺まで見付かったら洒落になんねーよ」
そうだよね。
わかってる、わかってるけど……。
ゆっくりと立ち上がり、椎名冬夜に背を向けた。
一歩を踏み出そうとした瞬間、やっぱり後ろが気になって。
振り返るとそこには苦しそうに息をする椎名冬夜が居て。
それは嘘じゃないって、わかるから。