【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「いいよ、1回だけなら」
小さく囁くように言いながら、あたしは椎名冬夜の前に座り込んだ。
「……っ、えっ?」
驚いたように息を吸うのが聞こえた。
「1回だけだから。今日だけだからね」
「……いいのか?」
グッと目をとじて、首筋を傾けた。
これで、いいのかな?
よくわかんないけど、何となくのイメージでやってみた。
「い、痛くしないでね?」
椎名冬夜が体を起こすのがわかって、思わず言ってしまった。
だって……恐いよ。