【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
そんな心の声、虚しく。
あたしの腕はアッサリと椎名冬夜に捕まれて。
遅刻しそうになって走ってきたあたしの体力は限界。
逃げれるわけなかったんだよね。
ハーハー息切れするあたしの前では、涼しそうな顔した椎名冬夜。
「何で走んの?」
「な、なんで、追いかけんの?」
「お前が走ったから」
「う……」
何も言い返せなくなってしまった。
「つか、お前なんか俺のこと避けてね?」
おもいっきりプルプルと顔を横に振る。
「いや、避けまくりだから」
少し首を傾げながら、小さく顔を横に振る。