【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「へぇー、言わなかったんだ?」
騒がしい女の子達が走り去った後、後ろからかけられた声で我に返った。
「べっ、別に。ただ…」
って、何であたし。
嘘なんてついたんだろう。
はっきりここに隠れてますよ!
って言えば良かったのに……。
何で。
「ただ。何?」
あたしの隣に並んだ椎名冬夜を見上げると、ニヤッと笑みを零す。
「ただ、ここでギャーギャーされても迷惑だからっ」
そう、それだけだもん。
下手したらあたしだって巻き込まれ兼ねないんだし。
「ふーん」
チラッと視線を向けると歩き出してしまった椎名冬夜。
その後ろ姿に
「どうして逃げるの?」
なんて聞いてしまっていた。