【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
胸の痛み
黒板の文字をノートに写しながら、進む授業を聞き教科書を次のページとめくった時。
机の上に置いてあった消しゴムに手があたり落としてしまった。
あっ。
パッと下を見るとコロコロと転がっていく消しゴムは、隣の椎名冬夜の足に当たって泊まった。
げっ。
コツンって感触に気付いたのか、椎名冬夜が目線を下に向け消しゴムを確認すると、すぐにあたしを見た。
あからさまに目を逸らしてしまったあたし。
何やってんのよ……。
椎名冬夜が落ちた消しゴムを拾う仕草が横目にうつる。
「おい」
かけられた小さな声にビクッと肩をあげて反応する、あたし。
「おい、って」
けど、あたしは固まったように動けないまま、その呼びかけをムシ。