【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「ともかく……アイツには必要以上に近付くな」
そう言い捨てるように言うと、椎名冬夜はマンションの中へと入って行ってしまった。
なんで?
なんでで椎名冬夜に、そんなこと言われなきゃ駄目なわけ!?
それよりも……繭ちゃんこと“アイツ”って。
たまたま言っただけ?
それとも繭ちゃんのこと知ってるの?
昨日も今日も、繭ちゃんと椎名冬夜が話してなかったよね?
それなのに……なんで?
椎名冬夜の背中が見えなくなると、なんか胸の奥がズキンッってした。