【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「ほら。言ってたお隣さんの仁奈ちゃん。
仲良くしなさいよ?」
言ってたお隣さん?
椎名冬夜のお母さんの言葉に、少し引っ掛かった。
どういう意味なんだろ……。
「はぁ!? コイツが!?」
首を傾げかけたあたしは、椎名冬夜の大声に驚き肩があがってしまった。
「コイツじゃないでしょ。仁奈ちゃん!」
「ちょっ、母さん。まじで言ってんの?」
「そうよ。何? 仁奈ちゃん可愛いし申し分ないでしょーが」
「コイツのどこが可愛いんだよっ。有り得ねぇっつーの!」
「可愛いじゃない、ねぇ?」
全く見えない言い合いをされてる上に、椎名冬夜のお母さんから同意を求められ苦笑いしか出来ない。
「母さん趣味悪ぃ……」
「はぁ? 冬夜、仁奈ちゃんの事、無理だからそんな事言ってるんじゃないの?」
「んな事ねーよ。こんな女簡単だろ」
「じゃあ、大丈夫よね」
「なぁっ!」
「男に二言はなしよね」
「チッ! ハメたな!?」
……おい。
ちょっと待て。
さっきから、意味不明な事ばっかり言ってるけどさ。
酷くない?
可愛くないだの。
あたしを可愛いっていう人は趣味が悪いだの。
簡単な女だの。
失礼過ぎませんかぁ?