【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「ううん、大丈夫!
仁奈ちゃんが悪いわけじゃないでしょう?
それに、この間守ってもらえて……それから、あんまり言われなくなったの」
「……守ってもらえた?」
疑問に思っただけ。
それだけで聞いた事だったけど。
「同じクラスの椎名君に」
その名前を聞いた瞬間、聞かなければ良かったかなって少し後悔した。
「……えっ?」
掠れた声が繭ちゃんの耳に届いたかはわからない。
ただ、嫌な予感がした。
ほんのりピンクに染まる頬と、恥ずかしそうに笑う、その表情に。