【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


-キーンコーンカーンコーン

屋上にまで鳴り響くチャイムの音。



「あ! あたし次、移動教室の鍵当番だったんだ!
ごめん、仁奈ちゃん。先行くね!」



そう言い残すと、繭ちゃんは屋上のドアを開けて飛び出して行った。

あたしもそれに続いて校内に入ると



「おい、あれ見ろよ」



廊下に居た男子があたしを見て止まる。



「あ。今さっき羽田さん飛び出して来たのって……」

「もしかして男の事で揉めてたとか?」



ニヤニヤ笑う男子の顔を見れなくて、俯いてしまった。


なんで、あたしがっ。

こんな風に言われなきゃ駄目なの?


なんでっ!


我慢していた涙が零れそうになった時。



「言いたいことあんなら本人に直接言えば?
目の前に居るんだから」



あたしの前に出来た大きな影。

ゆっくりと顔をあげると椎名冬夜が居た。



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