【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
家に帰って何度うがいをしたかわからない。
気持ち悪い。
そんなのは全くなかった。
だけど、どうしても許せなかった。
初めてのキスは、好きな人とって……
変な憧れかもしれないけど。
あんな風にするなんて想像もしたことなかったから。
落ち着かせる為のキスなんていらない。
ちゃんと気持ちをもってのキスじゃなきゃ嫌だったんだ。
あたしの血とか、命の為とか、そういうんじゃなくて。
ちゃんと“好き”って気持ちをもって……
って、
えっ?
好きって気持ち?
だ、誰に?
そう考えると浮かぶのは椎名冬夜の顔で。
ブンブンと大きく首を振っても消えなくて。
そして気付いた。
あたし椎名冬夜が 好き なんだって。