【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「別に誰でもいいじゃん」
えっ、繭ちゃん?
一瞬見せた繭ちゃんの目がとても冷たくて、あたしは驚いた。
だけど、ふっ、と再び笑みを零し、
「教えてくれればよかったのにぃ」
次に言った時は、いつもの繭ちゃんで。
……今のは、気のせい?
「あ……。
隠してたわけじゃないんだけど……」
これは本当で。
繭ちゃんには言うタイミングがなかっただけ。
ただ、椎名冬夜が引っ越して来たときは隠しておこうと思ったんだよね。
ほら、やたらとモテるし。
なんか面倒臭そうだし。
「で、今日はいける?」
「あ……」
このまま、あたしの気持ちを黙ってていいのかな?
繭ちゃんに言わなきゃ駄目だよね。
だって繭ちゃんはあたしを信じて、椎名冬夜が好きだって言ってくれた。
だから、あたしも言わなきゃ。
ちゃんと、あたしも好きなんだって。