【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「ごめんね、残ってもらって」
体育館に人が居なくなったのを確認すると、あたしは繭ちゃんに声をかける。
6限目が体育だったついでに、体育館に残ってもらったんだ。
「いいよ。
で、話ってなぁに?」
言うことは決まっているのに中々、言葉が出て来ない。
ついさっきまでは早く言わなきゃって思ってたのに、いざ言うとなると躊躇ってしまう。
繭ちゃん、あたしも椎名冬夜を好きだって言ったら、どう思うのかな。
もう友達じゃいられなくなるのかな……。
それは嫌だよ。
でも……
「あ、あのね。
実は、あたしも……」
「椎名君が好きだ、とか言わないよね?」
……え?
あたしが言おうと思った言葉を、先に繭ちゃんが言われてあたしは止まってしまう。