【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「何してんの、繭」
低いハスキーな声が聞こえて。
「殺されたいの?」
漆黒の髪の隙間から覗くグレーな瞳。
「……みてぇだな」
そう囁くような声が聞こえたと思ったら、あたしの前にポタポタと流れ落ちる真っ赤な血。
「ひぃっ……!」
さっきまであたしの上でハァハァと興奮した息を出していた男が、悲鳴のような声を出しながら後ろへと転がっていく。
「冬夜君っ!?」
繭ちゃんが叫ぶような声を出して、やっとあたしも我に返った。