【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
あたしの目の前でポタポタと流れ落ちる血は、男のものでも、繭ちゃんのものでも、あたしのものでもない。
椎名冬夜の血だった。
あたしの顔に向けられていたナイフを素手で掴んだ椎名冬夜の手からは、ものすごい血が流れ出ていて。
「な、何してんの!
早く離して!」
椎名冬夜の手首を掴み、ナイフを離させると
「お前、なに諦めようとしてんだよ」
って、はぁ!?
怪訝な顔をして何を言うかと思えば。
「俺の前から居なくなれると思ってんの?」
「今はそれどころじゃないでしょ!?」
コイツはバカなの!?
今は、そんな悠長に話してる場合じゃないでしょーが!
体操服を脱ぎ、それで椎名冬夜の腕を縛る。