【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
俺の事を説明すると繭は大喜びした。
ヴァンパイアに血を飲まれるのに、何がそんなに嬉しいのか俺にはサッパリわかんなかったけど。
まぁ、喜んでくれるなら俺としても好都合。
これで命の心配もいらないし、良かった。
そう思えたのは、ほんの少しの間だけだったけど。
2週間も経たないうちに、喉の奥が渇きはじめた。
普通“相手”の血を飲めば、最低3ヶ月以上は血を飲まなくても大丈夫だと聞いた。
だけど喉の奥が渇いて仕方ない。
ヴァンパイアは同じ女の血を連続して飲むことは、ほとんどしない。
それは女の体のことを考えてのこと。
だから喉の奥が渇いたとはいえ、間を空けず繭の血を飲むわけにはいかなかった。
結局、同じじゃね?
血を飲んだ帰り道、月を見上げてそう思った。
人間の女の血を飲んでも、持ちがよければ2週間は次を飲まなくてもいける。
繭の血も2週間近く持っただけ。
“相手”とか言うけど……今まで飲んできた人間の女と何が違うんだろう?