【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
そして聞こえた、
「出来ない」
って力強い声に、俺は確信した。
なんだよ、アイツ。
俺のこと、やっぱり好きだったんじゃねぇか。
分かりづらいんだよ、あのバカ。
そう思ってることとは裏腹に、俺の顔はたぶんニヤケてる。
んだよ、好きなら好きってサッサッと言えよな。
そんなことを思ってる間に、繭はまたいらぬことを言い出した。
自分が“相手”の第二候補だってことを。
その話をした途端、仁奈の声がほとんど聞こえなくなった。
「OK、取引成立ね。
仁奈ちゃん、約束は忘れないでね」
って。
何簡単に諦めようとしてんの?
何俺の前から居なくなろうとしてんの?
今更、遅いんだよ。