【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


そして聞こえた、



「出来ない」



って力強い声に、俺は確信した。



なんだよ、アイツ。

俺のこと、やっぱり好きだったんじゃねぇか。


分かりづらいんだよ、あのバカ。


そう思ってることとは裏腹に、俺の顔はたぶんニヤケてる。


んだよ、好きなら好きってサッサッと言えよな。


そんなことを思ってる間に、繭はまたいらぬことを言い出した。

自分が“相手”の第二候補だってことを。


その話をした途端、仁奈の声がほとんど聞こえなくなった。



「OK、取引成立ね。
仁奈ちゃん、約束は忘れないでね」



って。


何簡単に諦めようとしてんの?

何俺の前から居なくなろうとしてんの?


今更、遅いんだよ。


< 271 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop