【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
その時だった。
「へぇ~。俺に興味あるわけ?」
え!?
後ろから聞こえた声に、慌てて顔を向けると
椎名冬夜が、後ろの席に座ってあたしを見て笑っていた。
「な! い、いつからソコに居たの?」
カタン。と小さな音を立て立ち上がると、あたしの持っていた本を取り上げた。
「こんなの昔話、俺だって読んだ事ねーわ」
はぁ?
「お前、こんなの信じてんの?」
……。
何?
やっぱり嘘だったわけ?
あたし、からかわれてたのを真に受けちゃってたの?
吸血鬼が吸血鬼の事を知らないとか、普通有り得ないもんね。
うっわー。
ダサイところ見られたな。
嘘を信じた馬鹿な女、丸出しじゃない。