【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「べ、別に。たまたま読んでただけだよっ」
とか苦しい言い訳をする、あたしを今にも噴出しそうな顔で見下ろし
「たまたまねぇ?」
なーんて、嫌味な顔!
「そ、そう! たまたま!」
バレバレな嘘を必死に通す。
無理があるのは、自分でもわかってるもん。
「ふ~ん。まぁ。俺はこんな古風な吸血鬼じゃねーから」
「はぁ!?」
「時代は進んでんだぞ? 今時こんな吸血鬼なんているのかよ」
いやいや。
普通、吸血鬼すら居ないんじゃん?
変な会話に突っ込みをいれてしまえる、あたしが変なのか。
それとも吸血鬼の話を普通にしている、椎名冬夜が変なのか。
だんだん、わかんなくなってきた。
「俺は、怪物でもねーし。ついでに、死んだこともない」
そうキッパリ言われても……。
あたしが、さっき読んでいたページを見ながらそう言う椎名冬夜。
あたしは、引きつった笑顔で首を傾げることしか出来なかった。