【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「ちっ血を吸わせてくれる人なんて沢山いるんでしょっ」
自分で自分の言った言葉に驚いた。
だって、血を吸わせてくれる人が沢山いるだなんて。
まるで椎名冬夜が本当に吸血鬼みたいじゃない。
だけど何かわからない恐怖に、強がってみせたんだ。
「まぁ、血くれる女は沢山いるけど」
勝ち誇った笑顔を見て、眉間に皺が寄る。
モテ男気取りなこいつ……本当にムカツクんすけどー。
確かにかっこいいけどさ。
ここまで、自覚してる男もどうなの?
「はいはい…」
呆れたあたしが、立ち上がり鞄を手にした時だった。
「でも、お前じゃなきゃ意味がない」
「……へ?」
掠れた声が出た。