【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「またかよ……」
毎朝決まった時間に目が覚める。
それは俺が起きようと思っていた時間の何十分も前。
「どんな目覚まし使ってんだよ、アイツ」
はぁ、と重い溜息を吐きながらベッドから出た。
どうも部屋が隣らしい有賀仁奈は、絶対目覚ましで起きない。
毎朝アイツの目覚ましで目を覚ますのは俺。
もちろん、このマンションの欠陥とかじゃない。
隣の声が漏れることもないし、多少大きな音で音楽を聴いても平気。
ただ、アイツは窓を開けて寝てるらしく音が漏れてくる。
しかも、その目覚ましは可愛い音なんかじゃなく、聞いた事もないような爆音だ。
「……まじで迷惑」
一通りの準備を済ませて、部屋に着替えに戻ると、まだ聞こえてくる目覚ましの音に呆れた。