【完】愛の血−超勝手な吸血鬼
「京香ー! って何そんなに笑ってんの?」
クラスの女子が教室へ入って来るなり、あたし達の側へと走って来た。
「ん? いやぁー、仁奈の話がツボでさぁ」
やっぱり、馬鹿にしてるじゃん。
ムゥっと膨れたあたしを見たクラスメイトは首を傾げながらも
「そうだ! 知ってる? 転入生来るんだって」
と話を続けた。
「転入生?」
「そう、それがねーすっごいカッコイイらしいよ。さっき職員室に見に行った子が言ってたの!」
「まーじで!?」
イケメン好き京香は、目を輝かして話を聞き出していた。
転入生か。
今頃珍しいなぁー。
ふと考えている間に、クラスの女子がどんどんと集まり、話題は転入生で持ち切りだった。
気づけば、あたしは蚊帳の外で。
そりゃ、あたしだって恋はしたいなーって思う。
高校生だしね。
だけど、恋の前に好きな人すら居ないんだもん。