蒼空~キミの名前を呼ぶ~
…てか、どっち行ったんやろう!?
校門を出て……右? 左?
あぁー!! もう、わからへん!!
なんで、ボケッとしてたんや…。
あたしのアホ…っ!!
「左、行ったけど」
え……?
「高野…くん」
「美紗だろ? 左、行った」
「え、あぁ…! ありがと…」
「別に…」
そう素っ気なく答えて、スタスタと帰っていく高野くん…。
「高野くん!!
自分の気持ちに正直にね…!」
これだけは言っておきたかった。
だって…、高野くんはきっとウソをついてる。
美紗のこと…好き、だよね?
少し驚いたような顔をして高野くんが言った。
「……あんたこそ、
自分の気持ち…気づいてるんだろ…?
人に説教してる場合かよ?」
そう言ってスタスタと帰ってしまった。