蒼空~キミの名前を呼ぶ~
「まどかちゃん、
オレ、美紗を保健室に連れていくから
ますちんにも言っといて!!」
そんな神崎の言葉なんか、あたしには聞こえていなかった。
「まどかちゃん…?」
そう言われてハッと我に返った。
「あ…う、うん。 わかった…」
話を聞いていなかったから、適当に答えておいた。
きっと、担任に言っといて、みたいなことでしょ…?
フラつく美紗を支えながらゆっくりと歩く神崎――…。
意外と優しいやん…。
その優しさが、あたしに向けられていたらどんなに嬉しかっただろう――。
―――…ポタポタッ
涙が1粒、2粒と溢れ落ちたけど気づかないフリをした。
「親友の…幸せやねんから…ッ。
泣くな…ッ、泣くな、あたし…ッ!!」
美紗は、十分頑張ったんだ。
もう、楽になってもいいじゃない…。
親友の幸せを心から喜べないなんて――、
最低だ、あたし……。
≪まどかside、終≫