蒼空~キミの名前を呼ぶ~
瞼をそっと閉じて、風を感じる。
幼い頃からずっと知ってる心地よい潮風。
あの日…、蒼空と約束をした日だって
この心地よい風が、あたしたちを見守ってくれていたんだ。
あぁ、夏の匂い。
夏用の薄いスカートが風に揺れるたびに、風を直に感じる。
スゥーッと息を吸って、ゆっくりと目を開く。
―――…碧
ただ、碧く広い海が広がっていた。
それを見てあたしは思わず、笑みを溢す。
「ふふ…、前に決心したときも、海が広がってたなぁー…」
「え、何か言ったぁ?」
まどかが不思議そうに、あたしに聞く。
「なんにもーッ!! ただ…」
「ただ…?」
あたしはスゥーッと息を吸い込んだ。