蒼空~キミの名前を呼ぶ~
――キーンコーンカーンコーン…
1限目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
あたしたちは、スッと離れた。
「さっ、教室戻ろっか!!」
明るく美紗が笑う。
でもその前に、美紗に聞いておきたいことがあった。
「美紗…ッッ!!」
ドアに手を掛けた美紗が、「ん?」 と振り返った。
「高野くんとは…どうするの…?」
美紗が驚いたようにしてから、ニッコリと笑って言った。
「――――…ね」
その美紗の声は、強い風にかき消されて聞こえなかった。
そして、美紗は 「遅れちゃうよ!」 と言って、先に走って行ってしまった。
「えっ! ちょ…まっ…」
あたしには何か引っ掛かった…。
美紗の笑顔が悲しそうに見えたから――…。
≪まどかside、終≫