蒼空~キミの名前を呼ぶ~
「…っ…うぅ…」
やべー、止まんねぇわ…。
拭っても、拭っても…溢れだす涙は止まらない…。
「男のクセに…ッ、情けねぇ…っ」
「ほんまやわ」
突然聞こえた、可愛らしい声。
顔をあげて、声の持ち主を探す。
「…ッ…まどか、ちゃん…
盗み聞きは…、感心しねぇなぁ…」
「盗み聞きなんて、失礼やな
ご飯食べようとして
たまたま来ただけやわ…ほら」
そう言ってまどかちゃんは、パンが入ったコンビニのビニール袋をオレに見せる。
「美紗に…聞いてただろ…ッ?」
「場所なんか、聞かんわ
それに、2人の問題やのに
まどかが聞きに行ってどうすんねん?」
まぁ、その通りだけど…。
何も話さず坦々とお昼の用意をするまどかちゃん。