蒼空~キミの名前を呼ぶ~
――――ドンッ
急に立ち止まった蒼空の背中に、あたしは思いっきりぶつかってしまった。
「ご、ごめん…!!」
ボーッとしてた…。
「着いた」
「…え?」
そして、ハッとする。
海――…。
白い砂浜に碧い海。
輝く太陽の光が水面に反射して、まるで宝石を散りばめたみたい。
ただ、波の打つ音だけが聞こえる。
まるで、あたしたちだけの世界。
幼いあの日、
キミと約束を交わした思い出の場所――…。
もう、来ないと思っていた。
ううん、来ないつもりだった。