蒼空~キミの名前を呼ぶ~




「どう…して…?」




どうして、ここに…連れてきたの?





「大事な話…なんだろ?

オレさ…、昔から勘だけは冴えてるよ?」





どうして、そんな悲しそうな顔をするの?

ねぇ、蒼空が全然わかんないよ――。







「言いたいこと…言えよ」





どうして悲しそうに笑うの?


ねぇ、蒼空――…。







「ほら、早く…」



急かさないで、お願い。

こんなのあたしが考えてた、話し方じゃない。





『蒼空…あのね』って、無理にでも笑顔をつくって話を切り出すはずだったの…



それで…それで…





「そ、ら…っ

最後に…、もう一度だけ…ッ告白させて…」





って、笑顔で言うはずだった…。




なのに…


あたし、今涙でぐちゃぐちゃだよ…?







全然、笑顔じゃない。






< 191 / 304 >

この作品をシェア

pagetop