蒼空~キミの名前を呼ぶ~
“307号室 高野 蒼空”
そう達筆な字で書かれたネームプレートを見て、やっと蒼空が病気なのだという現実が降りかかってくる。
ドアに手を伸ばすと、異様なほどに心臓がバクバクする。
そして、それを誤魔化すようにコンコンッとドアにノックをした。
「はい」
蒼空ではない低くて懐かしい声が、ドア越しに聞こえた。
その声の持ち主が誰なのか、わかったあたしは驚きながらも、ゆっくりとドアを開いた。