蒼空~キミの名前を呼ぶ~
シーンと静まり返る冷たい廊下。
段々と人気がなくなっていく。
すると、たったひとつの影が現れた。
「おじさん――…」
病院の茶色いソファーに座り、
祈るように、両手を組んだおじさんの姿。
いつもは、ピシッと伸びた背筋だって、
今は縮こまるように丸まってしまっている。
顔だって、真っ青で。
あたしの声にだって、気づかない。
「おじさん」
あたしたちの姿に気づかないおじさんの肩に、菜緒さんはポンッと手を置いた。
すると、ハッとしたおじさんの視線は、あたしたちに注ぎ込まれる。