蒼空~キミの名前を呼ぶ~
おじさんは、一瞬驚いたような表情をしたけれど、何も聞かず、すぐに薄く微笑んでくれた。
あたしは、ゆっくりと口を開く。
「おじさん、蒼空は…」
すると、おじさんはあたしから視線を移した。
目の前の“手術中”という赤いランプに――。
「美紗ちゃん…」
ただその場に突っ立って言葉を発しないあたしに、おじさんが小さく声をかけた。
「これ…蒼空が――…」
そう言って、おじさんの鞄から丁寧に取り出された、スカイブルーの紙。
「これ…何ですか…?」
やっと出た言葉。