蒼空~キミの名前を呼ぶ~
オレは泣き崩れた美紗に背を向けて
歩きだした。
「――いい…っ」
後ろから今にも消えそうな声がした。
オレが振り向くと
美紗が潤んだ大きな目で
オレをまっすぐと見ていた。
「別に…、好きじゃなくて…いいっ!
だけど、『関わるな』は無理…っ!
だって…、蒼空が好き…だもんっ!!」
――――…美紗。
やめて、これ以上
オレの決心を揺らがせないで…。
「どんなことしたってオレは――…」
「いいの…っ!
だから…
――――…諦めないから。」
そう言って、美紗は校舎へ走った。
『諦めないから。』
迷いなんか、なかった…。
諦めが悪い…。
昔から変わってねぇな…。
そんな美紗が好きなんだけど。
「でてこいよ、燐…。」