蒼空~キミの名前を呼ぶ~
低い声が教室に響いた。
みんな驚いて一気に静かになった。
あたしだって、驚いた。
だって、この声の持ち主は…
「神崎くん…。」
いつも、軽いくてチャラい神崎くんから
こんな冷たい声が出てくるなんて
だれも想像してなかった。
まどかも相当驚いてるみたい。
だけど神崎くんは、
教室が静かになるといつもの調子で
ヘラっと笑った。
「みんな、やだな~。
ソラって高野のことじゃないし!
ただ、天気の話してて
言い合いになっただけ~。
オレが空のことを知らなさ過ぎて、
怒られちった~!」
シーンと静まり返った教室は、
またザワザワとうるさくなった。
「なんだよ~、
斗真おまえ小学生からやり直せ!」
「なぁんだ、勘違いしちゃったじゃない~!
沢渡さんごめんねー?」
どうやらあたしは、神崎くんの
ウソの発言とキャラに助けてもらったようだ。
なのに…
ごめんなさい、
助けてくれたのが神崎くんだとわかったとき
少し悲しんだあたしがいた…。
――…蒼空じゃないかって期待した。