蒼空~キミの名前を呼ぶ~
オレは、ギュッと拳を握った。
そうだよ、
美紗にはオレじゃなくたって
助けてくれるヤツはいる……。
神崎のヘッタクソな言い訳には、
驚いたけど……
オレだったらなんて言って助けてたんだろう。
あの言い訳は、神崎だから通じたんだ…。
神崎の言い訳を聞いた女子たちは、
「なんだー」と言って落ち着いたようだった。
きっとあそこでオレが、
何か言って美紗を助けていたなら
女子たちは美紗をもっと敵視しただろう。
やっぱり、オレは美紗といてはいけない。
オレといたら美紗は
涙を流し続けることになるだろう。
それに対して神崎といたら…、
きっと笑ってすごせる。
下唇をギュッと噛み締めて、
自分の情けなさを思い知った…。
≪蒼空side、終≫