シンアイ
「……っ!!」

間一髪のところで理性を取り戻した私は、すんでのところで掌を滑り込ませた。

「……この手、何?」

御園蘇芳は不機嫌そうに邪魔になっている私の手を退かす。

「な、何するんですか!」

「何ってナニだけど?」

……平然と何てこと言ってるんですか、この人。

「さっきイイ感じだったのに邪魔が入っちゃったからさ、あんたが代わりに相手してよ」

「はっ!?」

この人本当に何てこと言うんだ。滅茶苦茶にも程がある。

「冗談じゃない!お兄さんの婚約者に手を出す人なんて……不潔です!!」

そう言い放つと御園蘇芳は驚いたように目を見開いた。
幸い両サイドを塞がれているだけで、体は自由だ。これを好機に御園蘇芳の体を押し退けて逃げ出した。



信じられない。
御園蘇芳ってあんなことする人だったんだ。

資料室を飛び出し、廊下を走りながら今起こった出来事を思い返していた。

御園蘇芳っていつも御園藤と高城瑠璃の
三人でいるか、一人でいるとこしか見たことなかったけど、実はものすごいタラシ!?
しかも泥沼の三角関係!?

もしかしてこれって、すごいスキャンダルなんじゃ……。

…………ハッ!
資料取ってくるの忘れたー!!

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