シンアイ
私は今、大変厄介な人に目を付けられています。

「おはよー、ウサギちゃん!」

「きゃっ!?」

いきなり後ろから抱き付かれた。
こんなことをする人なんて一人しか思い付かないわけで……。

「はっ、離してください、御園くん!」

「ヤダ」

そう言って何故かさらにきつく抱き締められる。

な、何てことだ。

そう、あの資料室の一件から御園蘇芳に目を付けられてしまったのです。

「ウサギちゃんって抱き心地いいんだよね。ずっと抱いていたいくらい」

ヒイィィィ!
公衆の面前で何と言うことを!

ちなみに、ここは教室近くの廊下で、今はちょうど登校時間のピーク。つまり!ものすごーく目立っているわけで……。
あぁまた通り過ぎた人がこっちを見てコソコソ話している。

お願いだから誤解しないでくださーい!

何て言えるわけもなく……。

「蘇芳?」

どうやって御園蘇芳を引き剥がそうか考えていると、御園蘇芳を呼ぶ声が聞こえた。

これはもしや救世主!?

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