風に恋して
第一章:風に導かれて

再会

リアが目を開けると、白い天井が視界に映った……いや、天井ではなく、天蓋だ。

ゴールドの縁取りの真っ白なレースのカーテンに囲まれたふかふかのベッドは横幅も大きく、リアはその中央で眠っていた。肌に触れるシーツや枕もとても柔らかくて、リアには全く馴染みのないはずの高価なものだということがわかる。

まるでお伽の国のお姫様になったかのよう。夢を見ているのだろうか……?

リアの着ている物も、なぜかリアの記憶とは全く違う。白いナイトガウン――襟や袖にレースがあしらってあり、ワンピースはシフォンで彩られている。生地は少し薄くて心もとない気もする。

(……?)

自分の置かれている状況が理解できず、リアは上半身を起こしてゆっくりと辺りを見回した。

部屋はとても広く、大きな窓から太陽の明かりが差し込んでいて暖かい。その近くには可愛らしいテーブルと椅子が2つ置かれていて、部屋の中央にガラスのローテーブルと3人が座っても余裕があるだろう大きなソファがおいてある。

奥のドアはバスルームだろうか。バルコニーへと出られるらしい窓と反対側にはドアがあり、きっと廊下に出られるのだろうとリアは思った。

(お城……)

そう、ここはヴィエント王国の城――王が住む場所。“あれ”が夢でなかったとしたら、きっとそうなのだ。

少しずつハッキリとしてくる意識と記憶。リアはそっと自分の唇を指でなぞった。
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