風に恋して
「……こわ、い……っ」

自然と零れた呟き。レオがギュッと抱きしめてくれて、自分の小さな声が届いたのだとわかった。

「使いたく……ないの。私、の力は…………っ、だめ、なの」
「ああ、わかっている」

レオは少しだけリアから身体を離し、翡翠色の瞳を覗き込んでくる。

「使わせない。俺がちゃんと……止めてやるから」

力強い、迷いのない言葉。

リアは……その言葉を、信じている。どうしてかはわからない。ただ、本物だとか偽物だとか、そんなことが霞んでしまうほど心の底から強く沸き上がってくる何かがあって。

「…………ん……」

リアが微かに頷くと、レオは微笑んでくれた。

(あのときと……)

たった一度、力を使ってしまったときと。

(同じ……)

ぼやけて思い出せない影はきっと、レオだ。そうだとしたら……
< 100 / 344 >

この作品をシェア

pagetop