風に恋して
そう考えて、レオは頭を振った。

エンツォがリアを苦しめる理由がない。レオが見ていた限りでは、エンツォはリアに好意を持っていたように思う。

無表情であまり喋らないエンツォだったが、リアには少し心を開いていたようだった。実際、リアはたまにエンツォから聞いた話をレオにも話してくれた。

それは、リアを油断させるための演技だったのだろうか。

レオに対する復讐の方法として、リアというレオにとっての最愛の人を利用する。リアを攫うために、リアの心に入り込んだだけ?

だが、リア自身をここまで傷つけて……確かに、レオはボロボロになったリアを見てつらいと思う。だからといってレオにとってのダメージはおそらくエンツォが望むものの半分にも満たない。

それともそうやってじわじわと追い詰めるようにやる方が、痛みが長引くと……それがエンツォの望みだというのだろうか。

どちらにせよ、エンツォが壊したい本当の人間は――

(俺のはずだろ?)

レオはリアの手をギュッと握った。

リアは、無関係だったはずだった。レオだけを、傷つければいいのに。エンツォが本当に求めるものは、一体何だと言うのだろう――…

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