風に恋して
第三章:風に揺れる水面
おまじない
リアが目覚めると、太陽の光が部屋を明るく照らしていた。少し開かれた窓から心地良い風が吹き込んでくる。
そして……部屋に響くカサッと紙が刷れる音と、ペンの走る音。
リアは上半身を起こした。熱も大分下がったらしく、呼吸が楽だ。
(ずっと……?)
視線の先、テーブルに積まれた書類は昨夜ぼんやりと見えたそれよりも多い。レオはずっとリアの部屋で仕事をしていたのだ。
「あ、の……」
「リア」
リアがためらいがちに声を掛けるとレオがハッと顔を上げた。落ち着いた様子のリアを見て、ホッとしたように表情を緩めるとベッドに近づいてくる。
「熱は……まだ、少しあるな。食欲は?」
「お、水……を」
ぎこちなくレオと会話をするリア。レオは少しだけ笑ったようだったけれど、すぐに水をグラスに注いで渡してくれた。
「何か食べやすいもの……果物でも持ってこさせるから。着替えもしたほうがいい」
レオはそう言って、ポケットから紙を取り出して、小さく呟いた後、フッと息をかけて飛ばした。ヴィエントの呪術者が良く使う伝達手段。
チクリ、と……
こめかみの辺りが疼いたような気がしたが、水を飲むとその冷たさにかき消されていった。
そして……部屋に響くカサッと紙が刷れる音と、ペンの走る音。
リアは上半身を起こした。熱も大分下がったらしく、呼吸が楽だ。
(ずっと……?)
視線の先、テーブルに積まれた書類は昨夜ぼんやりと見えたそれよりも多い。レオはずっとリアの部屋で仕事をしていたのだ。
「あ、の……」
「リア」
リアがためらいがちに声を掛けるとレオがハッと顔を上げた。落ち着いた様子のリアを見て、ホッとしたように表情を緩めるとベッドに近づいてくる。
「熱は……まだ、少しあるな。食欲は?」
「お、水……を」
ぎこちなくレオと会話をするリア。レオは少しだけ笑ったようだったけれど、すぐに水をグラスに注いで渡してくれた。
「何か食べやすいもの……果物でも持ってこさせるから。着替えもしたほうがいい」
レオはそう言って、ポケットから紙を取り出して、小さく呟いた後、フッと息をかけて飛ばした。ヴィエントの呪術者が良く使う伝達手段。
チクリ、と……
こめかみの辺りが疼いたような気がしたが、水を飲むとその冷たさにかき消されていった。