風に恋して
その日の夜。

レオはリアの部屋のソファに横になって、窓から見える月をぼんやりと見つめていた。思考がまとまらない。

リアの記憶のこと、呪いのこと、今日のリアの行動、交流会のこと……

いろいろなことが浮かんでは消え、浮かんでは消え……どれもハッキリとした答えにたどり着かないまま同じ思考回路の繰り返し。

記憶や呪いについては、セストが帰ってきたら詳しい話が聞けるかもしれない。リアを連れ戻してから少しでもそばにいたいがために、レオ自身が行かなくても問題のない他国での仕事はセストに任せていて、城を空けることが多い。

セストもリアのことを心配しているのだろう、すべて引き受けてくれてはいるが、嫌味が増えたのは言うまでもない。

そんなことに思考が行き着いたとき、リアの眠るベッドの方から苦しそうな声が聞こえてきた。

「……っ、ゃ……ぅ……」
「リア?」

レオはパッと起き上がり、ベッドに近づいた。リアが苦しそうに顔を歪めてうなされている。

「リア、リア!」
「――っ」

レオが何度か名前を呼んで身体を軽く揺すると、リアは目を開けた。

「大丈夫か?」
「ぁ……はっ……」

起き上がったリアは大きく息を吐いた。その背中に手を添えて身体を支えるようにして、リアがかなり震えていることに気づく。そして、微かに嗚咽を漏らすリア。
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