風に恋して
「ん……リア?」

腕の中でリアが身じろぎするのを感じてレオの意識がスッと浮上する。

「悪い、苦しかったか?」

レオはリアの頭を撫でて身体を起こすとベッドから抜け出した。窓の外、薄く空が白んでいるところを見ると、まだ朝の早い時間のようだ。

リアが目を覚ます前にベッドを離れようと思っていたのに、彼女の温もりに安心したせいか、深い眠りに入ってしまったようだった。

「昨夜のことは……忘れろ。お前のせいじゃない。俺が……抑えられなかったんだ。ごめん、な」

レオはリアの髪の毛を一房指に絡め、キスを落とした。リアがレオを見上げている。戸惑いと怯えと……ほんの少しの情熱。

「ごめん。お前を苦しめたくないと思っているのに、俺は……」

リアを苦しめることしかできない。

スッとリアから離れ、扉へと向かう。

「朝食までまだ時間がある。もう一度寝たらいい。まだ眠いのだろう?」

部屋を出る間際、レオは少しだけ振り返ってリアに微笑んだ。

小さく音を立てて閉まった扉を、リアはしばらく見つめていた。
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