風に恋して
絡まるオモイ
「リア様!」
図書館へ行った帰り、ぼんやりと廊下を歩いていると不意に声を掛けられた。振り返ると、セストが小走りに近づいてくる。
「お加減はいかがですか?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
リアは軽く頭を下げてじっとセストを見つめた。彼を見たのは久しぶりな気がする。
「あぁ、すみません。しばらくルミエール王国へ行っておりました。解熱の呪文を入れてからすぐに出発してしまったので……」
セストの言葉にリアは頷いて答える。
ルミエール王国はヴィエント王国の南に位置する国だ。光属性の呪文を使う民が住む国で、今はあまり情勢が良くなかったように思う。
貧富の差が激しく、貴族たちが贅沢な暮らしをする一方で一般市民は苦しい生活を余儀なくされている者も少なくないとか。
とはいえ、都市部は裕福な層も多く、特にルミエール城が見える城下町は有名な観光名所でもある。ルミエール城が夜になると呪文でライトアップされるからだ。
「あの……やはり、呪いですよね?」
セストが言いづらそうに、リアに確認する。リアは彼からスッと視線をはずして廊下の奥を見やった。
セストの言葉は問いかけのようで、確信めいたトーンで紡がれた。あの現場でリアの様子を見た王家専属クラドールが呪いに気づかないわけがない。レオも同じ。
そして、リアも……
図書館へ行った帰り、ぼんやりと廊下を歩いていると不意に声を掛けられた。振り返ると、セストが小走りに近づいてくる。
「お加減はいかがですか?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
リアは軽く頭を下げてじっとセストを見つめた。彼を見たのは久しぶりな気がする。
「あぁ、すみません。しばらくルミエール王国へ行っておりました。解熱の呪文を入れてからすぐに出発してしまったので……」
セストの言葉にリアは頷いて答える。
ルミエール王国はヴィエント王国の南に位置する国だ。光属性の呪文を使う民が住む国で、今はあまり情勢が良くなかったように思う。
貧富の差が激しく、貴族たちが贅沢な暮らしをする一方で一般市民は苦しい生活を余儀なくされている者も少なくないとか。
とはいえ、都市部は裕福な層も多く、特にルミエール城が見える城下町は有名な観光名所でもある。ルミエール城が夜になると呪文でライトアップされるからだ。
「あの……やはり、呪いですよね?」
セストが言いづらそうに、リアに確認する。リアは彼からスッと視線をはずして廊下の奥を見やった。
セストの言葉は問いかけのようで、確信めいたトーンで紡がれた。あの現場でリアの様子を見た王家専属クラドールが呪いに気づかないわけがない。レオも同じ。
そして、リアも……