風に恋して
「申し訳ございません。リア様を混乱させるかとも思っておりましたが……呪いのことをわかっておられる以上、話しておいたほうが良いかと判断しました」
混乱はしている。だが、その一方で理由を知って納得したのも事実。
先代オビディオは早くに亡くなったということは、今のリアも知っている。だからこそ、レオは27歳という若さで王位に就いているのだ。
レオの婚約者という立場であったリアは、エンツォを苦しめる存在だったのだろうか……?おそらくはレオと笑って過ごしていた自分。オビディオとマリナ、レオとリア……エンツォの心の傷を抉る存在だった?
リアは自分の心臓に手を当てた。ヴィエント王国の王妃――それ以上の、重さ。自分の存在が誰かを傷つけていると考えたことなどなかった。
セストはそんなリアをしばらく見つめていたが、やがてテーブルの日記を手に取るとまた机の引き出しへと戻した。
「貴女も……本当は、お気づきなのでしょう?エンツォが、すべての糸を引いていると」
リアは何も言わなかった。
事実だったから。
最初から、気づいていた。エンツォの“気”が自分の中に入っていることに。研究室で記憶の渦に巻き込まれたときからずっと。
作られた想いなのだと、気づいていたのに。それでも心のどこかで、信じていたかった。見ないふりをしていた――
混乱はしている。だが、その一方で理由を知って納得したのも事実。
先代オビディオは早くに亡くなったということは、今のリアも知っている。だからこそ、レオは27歳という若さで王位に就いているのだ。
レオの婚約者という立場であったリアは、エンツォを苦しめる存在だったのだろうか……?おそらくはレオと笑って過ごしていた自分。オビディオとマリナ、レオとリア……エンツォの心の傷を抉る存在だった?
リアは自分の心臓に手を当てた。ヴィエント王国の王妃――それ以上の、重さ。自分の存在が誰かを傷つけていると考えたことなどなかった。
セストはそんなリアをしばらく見つめていたが、やがてテーブルの日記を手に取るとまた机の引き出しへと戻した。
「貴女も……本当は、お気づきなのでしょう?エンツォが、すべての糸を引いていると」
リアは何も言わなかった。
事実だったから。
最初から、気づいていた。エンツォの“気”が自分の中に入っていることに。研究室で記憶の渦に巻き込まれたときからずっと。
作られた想いなのだと、気づいていたのに。それでも心のどこかで、信じていたかった。見ないふりをしていた――