風に恋して

雨の呪文

――セストに話を聞かされてから。

リアは食事と湯浴み以外の時間をほとんどベッドにもぐって過ごしていた。セストの話がぐるぐると頭の中で渦巻いて、何もする気にならないのだ。

それに、なんだかここ最近とても眠い。本を読んでいても、いつのまにか眠ってしまっている。

「リア」

うとうとしていたところに、レオの声が聴こえてリアは少しだけシーツを下げた。

「夕食は?」

リアは頷いて食べたことを伝える。レオは少し微笑んでリアの頬に触れた。

(熱い……)

セストから事情を聞いているのだろう、レオは何も言わずにリアを気遣ってくれている。変わらず毎日何回かリアに会いに来るし、こうして優しく触れてくる。

そして毎回、リアの体温を上げていく。

こんな風に熱くなるのは、どうしてなのだろう?

(私……)

リアが。

(好、き……なの?)

レオのことを……?だから、こんなにも苦しいのだろうか?

エンツォのことは?好き?

それは、偽りの想いで……でも。

うまく考えられない。火照った身体のせいだ。
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